ホームページのリニューアルは、仕様にこだわるほどコストがかかる点が悩ましいところです。そこで、経費の一部を補助し社会情勢による影響を緩和するために、補助金や助成金が活用されています。

この記事では、ホームページの制作で申請できる補助金・助成金について、概要・自治体ごとの事例・申請の流れ・注意点を紹介します。

ホームページ制作にかかる料金の相場も取り上げていますので、補助金や助成金の申請と併せて参考にしてください。

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補助金と助成金の違い

補助金とは、政府や地方公共団体から企業・個人に給付される貨幣のことです。

日本では経済産業省(政府)や地方自治体が給付を行っており、行政上の目的や効果をあげるために支出しています。財源は税金で、企業や地方の活性化、技術開発・促進が主な目的です。

助成金も補助金と同じく政府や地方公共団体から企業・個人に給付される貨幣を指しますが、地方活性化などに使われる補助金と違い、「事業や研究をサポートするための金銭」という意味をもちます。

使用用途の違いに加えて、補助金の審査基準は厳しく、助成金は要件を満たしていれば受け取りやすい(受け取れる可能性がある)という違いもみられます。

ただし、補助金と助成金に明確な定義はありません。「何らかの目的達成のために補助を行う」という意味で「補助金」が使われ、事業や研究の一助となるための資金援助を「助成金」と呼称されるように、金銭の使い道や方向性に応じて呼び分けられるのが一般的です。

補助金と助成金の違いや共通点は以下のとおりです。

【補助金と助成金の違い】

分類 補助金 助成金
管轄 政府や地方公共団体 政府や地方公共団体
財源 税金・雇用保険料 税金・雇用保険料
目的 行政上の目的達成

地方の活性化

産業の育成

国・地方自治体の施策を進めるため

事業・研究の促進

支援・人材育成

雇用の創出や雇用に関する施策を進めるため

難易度 審査が厳しい

倍率が高め

予算に上限が設定されていることが多い

審査は比較的易しい

倍率にかかわらず需給できる場合が多い

基準を満たしてれば申請できる場合が多い

申請期間 公募期間中 随時・予算がなくなるまで

または中長期の募集が多い

共通点 貨幣(金銭)による援助が受けられる

政府や地方自治体による制度である

財源に税金などが使われる

※上記の違いは一例です。詳しくは各事業・制度の公式ホームページや国・自治体の案内を参照してください。

経済産業省の政策実施機関である独立行政法人 中小企業基盤整備機構では、助成金の枠組みの中にも補助金の意味合いが強いものもあるとしています。※

それぞれの制度の内容をよく確認し、理解したうえで活用するようにしましょう。

※参考元:J-Net21「補助金・助成金の違いや補助金活用における注意点について教えてください。

ホームページ制作で申請できる補助金・助成金

ホームページの制作で申請できる補助金・助成金には以下のような制度が挙げられます。

【ホームページ制作で申請できる補助金と助成金】

名称 審査内容
小規模事業者持続化補助金 業種・枠ごとの審査
事業再構築補助金 事前確認と枠ごとの審査
ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金 枠ごとの公募に申請
地方自治体の補助金 一定の条件を満たしている

業種・枠ごとの審査

補助金・助成金には、地方自治体が独自に支援するものと全国から公募または審査によって補助を決定するものがあります。事業者の支援事業は中小企業庁または経済産業省が管轄し、地方自治体では市区郡が中心となって相談や審査を受け付けています。

事前に該当するか確認が必要なものもあるため、申請・応募を行う前にそれぞれの補助金・助成金の公式サイトや市区郡のホームページを確認してください。

ホームページの作成について使える補助金や助成金について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

関連記事:ホームページ作成に使える補助金・助成金まとめ!個人事業主にも利用可

小規模事業者持続化補助金

小規模事業者持続化補助金は、中小企業や個人事業主のような小規模事業者が、制度変更・賃金の引き上げ・新型コロナウイルス感染症の影響といった社会情勢の変化に対応し、販路開拓や業務効率化に取り組むための支援を行う制度(補助金)です。

2020年に第1回がスタートし、2024年3月15日で第15回を迎えた本制度は、令和6年能登半島地震の災害支援枠として新たな枠組みを設け、2024年現在も支援を継続しています。

本制度は経済産業省管轄の中小企業庁が行う「中小企業生産性革命推進事業」のひとつで、全国の商工会・商工会議所が小規模事業者の取り組みにかかる経費の一部を補助するものです。

補助金を需給するには、公募に申請しなければなりません。公募要領を確認し、該当する場合は専用のIDを取得のうえ、申請期間内に申請システムに入力(電子申請)して応募します。

参考元:商工会議所地区 小規模事業者持続化補助金

事業再構築補助金

事業再構築補助金は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化するなかで売上の回復を図る中小企業等の事業再構築を支援するための制度(補助金)です。

経済産業省管轄の中小企業庁が行う「中小企業等事業再構築促進事業」のひとつで、中小企業基盤整備機構による監督のもと、民間会社が委託を受けて運用しています。

事業者の新分野への展開・事業や業種の転換・業態転換・事業再編といった再構築への挑戦を支援するもので、「成長枠」「卒業促進枠」など、事業再構築の方向性に応じた枠が用意されています。2024年4月時点で第11回の公募スケジュールが公表されています。

補助金を需給するには専用のIDを取得のうえ、該当する枠ごとに申請期間内に応募します。また、事業計画書を作成して認定経営革新等支援機関から確認を受けなくてはなりません。

参考元:事業再構築補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(ものづくり補助金)は、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者の生産性向上と経営状態の改善、事業の転換を支援する制度(補助金)です。

小規模事業者持続化補助金と同じく、経済産業省管轄の中小企業庁が行う「中小企業生産性革命推進事業」のひとつで、全国中小企業団体中央会が管理運用を行っています。

事業再構築補助金では対象外となる、「既存の事業の生産性向上のための取り組み」も補助金支給の対象となり、「省力化(オーダーメイド)枠」のように、経営改善のための方向性に応じた枠が用意されています。

補助金を需給するには公募に申請しなければなりません。公募要領を確認し、該当する場合は専用のIDを取得のうえ、該当する枠ごとに申請期間内に申請システムに入力(電子申請)します。

ホームページの種類によっては対象外になる場合があるため、不明点は事務局へお問い合わせください。※

※参考元:ものづくり補助事業公式ホームページ ものづくり補助金総合サイト

地方自治体の補助金

地方自治体でも、事業者に対して補助金や助成金を支給しています。一例として、東京都では23区の複数の区がホームページ作成支援として補助金を支給しています。

自治体によって支援の方向性・金額・細かな内容が異なるため、お住まいの地域または事業を行っている地域を管轄する自治体のホームページを確認してください。

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ホームページ制作で申請できる地方自治体の補助金・助成金

ここからは、東京都・大阪府・愛知県・福岡県の4地域について、ホームページ制作で申請できる補助金・助成金を確認していきましょう。

東京都

  • 葛飾区:ホームページ作成費補助
  • 江戸川区:販路拡大支援事業助成金
  • 杉並区:創業スタートアップ助成事業
  • 中央区:ECサイト活用補助金
  • 練馬区:ホームページ作成補助金
  • 足立区:ホームページ作成・更新補助金
  • 江東区:ホームページ作成費補助

東京都では、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けて市区単位で補助金の支給が行われてきました。2024年現在も一部の区では補助制度を継続しています。

大阪府

  • 吹田市:中小企業ホームページ等作成事業補助金
  • 岸和田市:「がんばる岸和田」企業経営支援事業補助金
  • 堺市:堺市中小企業デジタル化促進補助金

大阪府では、市ごとにホームページ制作のための補助金を支給しています。すでに制度を終了している自治体もあるため、ホームページまたは電話・メールによる問い合わせで新しい情報をチェックしてください。

愛知県

  • 愛知県:商業振興事業費補助金(地域商業活動活性化事業)

愛知県では、地域経済発展のための補助金として県が組合や連合組織に補助を行っています。対象者が限定されていますが、ECサイトの構築も補助の対象となります。

福岡県

福岡県では、小規模事業者販路開拓応援補助として新型コロナウイルス感染症の影響を受けた小規模事業者を対象に補助を行ってきましたが、2023年からは令和5年梅雨前線豪雨で被災した商工業者を対象に「被災小規模事業者販路開拓応援補助金」の支援に切り替えています。

2024年現在はホームページ制作にかかわる支援は行っていませんが、情勢の変化に応じて随時支援制度が更新されると考えられます。

ホームページ制作時に補助金や助成金を申請する流れ

ホームページを制作する際、補助金や助成金を申請する流れは6つのステップに分けられます。それぞれの方法をチェックしていきましょう。

ステップ①申請したい補助金・助成金を選ぶ

中小企業庁・地方自治体のホームページや自治体ごとの補助金・助成金情報をまとめたポータルサイトなどを確認し、申請したいものを選びます。申請したい制度が見つかったら、申請時期を確認してください。

公募前または申請の時期を過ぎている場合は、申請をしても受付の対象外となるため注意が必要です。

自治体によっては複数の補助金が申請できる場合もあります。たとえば、政府が実施する事業再構築補助金と、自治体の補助金をどちらも需給したいと思ったときは、同時申請が可能か確認してください。

なかには複数の補助金を同じ名目で需給できないケースがあります。ホームページ制作について複数の申請予定がある方は、申請先の事務局・問い合わせ先に確認を行ってください。

ステップ②公募要領を確認し、必要書類を準備する

申請の条件や期間を満たしているものは、公募要領をよく確認して必要な書類を準備しましょう。

金融機関による資金調達を受ける際には、その金融機関の確認書が必要になります。経費にかかわる誓約書や事業計画書に記載する付加価値額などの算出根拠を別紙に記載し、提出するよう指示される場合もあります。

根拠となるデータの用意と記載、事業の詳細といった記載部分は特に重要な部分です。準備に時間がかかる書類ほど早めに取り掛かることをおすすめします。

東京都では、補助金や助成金の案内・相談・事業計画書の策定支援などを中小企業相談センターで受け付けています。商工会・商工会議所の窓口でも同様に補助金や助成金に関する相談が行えますので、申請を受けようと考えている方は早めにご相談ください。※

※参考元:東京商工会議所「各種助成金のご案内 補助金相談の予約について

ステップ③必要書類をそろえ、申請する

書類がすべて揃ったら、その補助金・助成金の申請窓口に提出します。期日内・時間内に正しい窓口へ提出しましょう。

書類が手元に揃ったら、不備がないかを確認してください。誤字・脱字や記載忘れがあると再申請扱いになってしまいます。不採択になっても再度申請を行うことは可能ですが、一度の申請で通過するためにも書類の確認は忘れずに行いましょう。

ステップ④採択の通知を受け取り、交付申請をする

書類提出後、各事務局が審査を行って申請の採択可否を決定します。小規模事業者補助金制度のように一部の補助金は電子申請が可能なため、マイページにログインすると結果が通知されます。

決定の通知が複数届いたときは、併用できない補助金・助成金を辞退する必要があります。併用可能なものはそのまま需給できますが、併用不可とされているものはそのまま交付されると不正受給となってしまうため、必ず不要なほうを辞退してください。

補助金・助成金の説明や選び方の相談は、商工会・商工会議所や中小企業支援センターのような専門機関で受け付けています。申請方法は公式のホームページに記載されていますが、細かい流れや不明点は専門機関および中小企業診断士などへご相談ください。

ステップ⑤事業を実施する

補助金・助成金の交付が決定したら、補助事業を開始します。事業者は、補助事業を実施する期間内に事業をすべて完了させます。

「交付決定日から◯ヶ月以内」などの規定があるため、補助金・助成金を確実に需給するためにも、必ず期間内に事業を実施しましょう。

申請した内容で事業を実施したあとは、実施内容・経費を申請します。補助事業完了から規定の日数以内に書類を提出し、確実に事業を実施したことが確認されると補助金の交付が行われます。

補助事業の実施に関する注意点として、交付が決定してからは自己資金で事業を始めます。補助金や助成金は基本的に事業の実施を確認してから後払いで交付されるものです。

政府や自治体から交付される金銭ですが、あくまでも経費の一部を補うものであり、全額が交付されるわけではありません。申請前は書類だけではなく資金の準備も忘れずに進めておきましょう。

ステップ⑥補助金や助成金が交付される

補助事業を実施したあと、期間内に申請を行い受理されると、補助金・助成金が交付されます。事前に申請した内容で事業を行ったことを証明すれば、適切な事業とみなされます。

反対に、補助対象の期間以外で発注をかけたり、発注日を勝手に変更したりすると不正行為に該当し、補助金・助成金の不正受給にあたる行動として、全額返還が求められます。

事業そのものはもちろん、事業者としての信頼を損ねる行為にもなってしまいますので、不正や誤りのないように事業を実施して交付を受けてください。

ホームページ制作で補助金や助成金を申請する場合の注意点

ホームページ制作で補助金や助成金を申請するときは、4つの注意点を押さえておきましょう。

書類作成に手間と時間がかかる

応募に必要な書類は、補助金の手続きに必要なものです。審査に使われるほか、補助事業の完了まで必要とされるものです。

申請したい補助金が決まったら、申請書または申請用のフォーマットを入手して記載します。倍率が高い補助金・助成金は厳正な審査を経て採択されるため、事業内容・経費・数字の根拠は正確かつ納得のできるものを記載しなければなりません。

補助金申請では申請書・事業計画書・経費明細書などが必要です。計画の実施中も実施報告書や経費に関する書類が必要です。

申請後の大幅な訂正や再提出はできないため、公募要項や事務局ホームページに掲載されている情報をよく確認することが重要です。

審査で落ちるケースがある

補助金の申請者が多ければ、審査委員会や事務局による厳正な審査が行われ、評価の高い順番に採択されます。

一定の要件を満たしているからといってすべてが採択されるわけではないため、条件に合致していても不採択になる可能性はあります。

地方自治体のように予算が限られている支援制度では、申請の内容が自治体の方向性や求めに合っているかが審査されます。要件を満たしていれば通るというわけではありません

不正や成果未達成があった場合は返還が必要な可能性がある

不正需給の疑いがある、または不正需給につながるものは全額を返還しなければなりません

補助金を申請した事業以外の用途に使う、他者への譲渡や交換、貸付や担保に使用することも禁じられています。申請書類に記載した用途の通りに使用しなければ、補助金が正しく使われていないと判断されるため返還を求められます。

実際の例として、小規模事業者持続化補助金の補助事業を事実と異なる内容に報告していた団体に対し、業務を適正に実施するよう書面による厳重注意が行われました。

参考元:経済産業省「小規模事業者持続化補助金の執行について(厳重注意)

補助金は実績報告後に支給される

補助金は、申請した補助事業を実施したあとで事業者が実績報告を行い、報告内容が受理されたときに支給されます。

補助金を元手に事業が開始できるわけではなく、前もって準備した自己資金でスタートする点に注意が必要です。

一例として、ホームページの制作に合計で150万円がかかり、補助率が2/3の補助金を申請する場合は、自己負担分50万円に加えて2/3の100万円も自己資金から立て替え払いし、事業を始めなければなりません。

100万円が手元に用意できなければ、事業を開始できないと判断されるため補助金の申請は難しくなります。100万円を用意するためには、補助金の申請よりも早い段階で商工会・商工会議所などの専門機関に相談しましょう。

ホームページ制作にかかる料金相場

ホームページ制作の制作にかかる料金は、ページ数が少ないものやシンプルなサイトで10〜150万円程度です。

それ以上の規模では150万円を超え、オリジナル要素(デザインやコンテンツ量、ページ数や他のシステムとの連携など)が多いほどコストがかかります。

自社で制作する方法がもっとも低コストですが、実績の豊富な会社や複数のコンテンツを別会社に依頼して制作するようなケースではそれぞれにコストがかかるため、数百万円になることも珍しくありません。

ホームページの制作は、制作会社・CMS・フリーランス(個人事業主)に依頼できます。仕様について相談し、費用の見積もりが出てから自己資金を準備して、補助金の申請を行いましょう。

ホームページ作成費用の料金相場について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

関連記事:【最新版】ホームページ作成費用の料金相場とは?一目でわかる料金早見表付き

ホームページ制作に補助金・助成金を活用する

今回は、ホームページの制作でホームページの制作で申請できる補助金・助成金について、概要や自治体ごとの制度、申請の流れについて紹介しました。

政府や自治体による補助金や助成金は、小規模事業者持続化補助金のように現在も継続しているものもありますが、景気動向の状況や新型コロナウイルス感染症の影響が終息に向かってくるとその年度で終了になる可能性があります。

これから申請を考えている方は資金の準備や申請手順の確認、書類の記載を早めに進めながら、ホームページ制作に合った制度に申請を行いましょう。

私たち、株式会社フォーサイトクリエイションは、全国の様々な企業や商品・サービスのブランディングかホームページ制作、パンフレットなどのグラフィックデザイン制作、動画制作などトータルにサポートしていますので、ご不明点やご質問などありましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

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監修者情報

 

株式会社フォーサイトクリエイション

代表取締役 村田 雅利

大学卒業後、大手スポーツメーカーの営業としてトップの売上実績を残し、もっと営業スキルを磨くために転職した広告代理店でも年間売上数十億円と売上に貢献。そして広告をもっと深く知るために、事業モデルの構築や土地開発から関われる商業施設のプロデュース及び集客コンサルティング会社に転職。そこでは年間数億円の広告予算を預かり、広告戦略を組み立て売上拡大に貢献。その後、大手制作会社の取締役と集客コンサルティング業務の両立を経て、現在の株式会社フォーサイトクリエイションを設立。 今までの経験を活かし、営業・企画・戦略の3つの目線から業種を問わず様々なクライアントの課題や目的に対して、コンサルティングとデザインでクライアントの成長に貢献しています。